参議院議員12名の方に、公開質問状を送りました。
貧困女子高生報道とその後のバッシングについて、片山さつき議員を含む参議院議員12名に公開質問状を送ってみました。
送付は9月4日付です。
片山さつき議員は自民党に所属されていますが、他の党の議員にも意見を聞いてみたかったので、参議院に議席を5以上持っている会派のうち、文教委員会所属の方や、貧困や教育といったテーマに力を入れている方、そして福島県に縁のある方を選びました。
選ばせていただいた12名の方は、画像のとおりです(敬称略)。
民進党からは那谷屋正義さん、蓮舫さん。日本維新の会からは、片山大介さん、渡辺喜美さん。社民・生活からは山本太郎さん、福島瑞穂さん。自民党からは、片山さつきさん、赤池誠章さん。公明党からは、新妻秀規さん、若松謙維さん。共産党からは、吉良よし子さん、岩渕友さん。以上の12名です。
公開質問状の内容も、そのまま、ここで公開します。画像の下には、コピー&ペーストできるように、テキストでも貼り付けます。
《公開質問状》 進学を控えた若者への経済支援策に関する公開質問状
拝啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。 わたしたちは福島県の高校生団体「次世代による政治を考える会」です。 8月18 日にNHK「ニュース7」で放送された、貧困に苦しむ女子高生についての報道と、 それに対する市民や国会議員の反応をきっかけに、高校生世代の貧困と経済支援策について、強 く興味を持ちました。 同じ高校生として、騒動の渦中にある女子高生と、進学を控えた高校生たちの力になりたい。 ただ報道と討論を傍観するだけではなく、わたしたちでも、この問題に関して政治家の皆さんの 考えを知り、議論を深めたい。 こう考え、この度貴殿の考えをお伺いすることにしました。本質問状は、参議院に議席を5以 上持つ党・会派所属の議員のうち、計12名の皆様に、同様のものを送付しております。 なお、回答は9月15日(水)《必着》までに、書面にて回答いただき、団体住所に郵送願い ます。9月15日(水)までに回答いただけない場合は、その旨を公表させていただきます。ま た、本質問状及びご回答は、報道機関へ、またウェブサイトやSNS 等へ、広く公表させていた だきます。あらかじめご承知置きください。 お忙しいことと存じますが、よろしくお願い申し上げます。 敬具
◯質問は12あります。
◯すべての質問について回答いただきますよう、ご協力お願い申し上げます。
◯選択肢の示されているものは、選択肢を選択いただいた上で、ご回答ください。
質問1
貴殿及び貴党の若者支援対策についてお伺いします。 2012 年高卒者保護者調査(1)によれば、就職した高校生のうち、「経済的に進学が難しかった」ことを理由に就職したものは6.3%、約6.6 万人いると推計されています。この結果も踏まえ、高校生が経済格差を理由として進路変更をするケースを、各種政策によって改善されるべ き問題だと認識しますか。(その理由も添えて、ご回答ください。)
□はい / □いいえ / □その他
質問2
どのような政策等の取組を通じて、経済的格差を理由とした進路変更が存在する状況を、改善すべきだとお考えですか。(改善しなくてもよい、とお考えの場合は、回答は不要です。)具体的な政策を例示して、お教えください。
質問3
現在の日本学生支援機構の奨学金制度では、返済義務が存在します(貸与型奨学金)。それゆえに、2012年高卒者保護者調査(1)によると、経済的に困窮している世帯を出た大学生ほど、 貸与型奨学金制度を利用することに抵抗を感じる傾向にあります。経済的に困窮している世帯ほど、奨学金制度を利用することに抵抗のある現状を改善すべきだとお思いですか。(その理由も 添えて、ご回答ください。)
□改善した方がよい / □改善する必要はない / □その他
質問4
2016年8月2日の閣議決定「未来への投資を実現する経済対策」には、平成 29 年度(2017 年度)予算編成過程を通じて給付型奨学金制度を実現する(2)ことが盛り込まれています。貴殿及び貴党は、給付型奨学金制度の実現に向けて、これまでどのような取り組みをしてきましたか。また、今後どのような取り組みをしていく予定でしょうか。お教えください。
質問5
その他、経済的格差のある世帯の高校生支援について、検討中の政策があればお教えください。
質問6
現代の日本では、飢餓など生命の維持が脅かされるような「絶対的貧困」はほとんどありませ ん。社会における平均的な生活を送ることが困難な、「相対的貧困」の状況にある方が、貧困者の多数を占めます。OECDの定義する相対的貧困率の定義によれば、16.1%(平成24 年)(3) の人が相対的貧困状態にあるとされています。
日本における貧困者は、多くの場合、社会における平均的な生活を送ることが困難な、「相対的貧困」者であることを認識していましたか。
□認識していた / □認識していなかった / □その他
質問7
相対的貧困に該当する人々への支援や格差解消のための政策は必要だとお考えですか。 (そ の理由も添えて、ご回答ください。)
□必要だと思う / □必要ではないと思う
質問8
相対的貧困者は、経済的理由で進学を断念したり、進学のために支出を大きく制限したり、 外出を極端に少なくしたりすることが必要になると考えられます。これらのことを、格差だとお考えですか。 (その理由も添えて、ご回答ください。)
□格差だと思う / □格差ではないと思う
質問9
8 月19 日にNHK ニュース7 で放送された、神奈川県の貧困状態で大学進学が難しい女子高 生についてお伺いします。この女子高生は、神奈川県が主催する相対的貧困をテーマにしたイベ ントに当事者代表として参加し、また報道された生活の様子などからも、相対的貧困状況にある と考えられます。(4) この女子高生を含む、相対的貧困状態にある高校生は、娯楽や進路先、職業への制限があるべ きだとお思いですか。 (その理由も添えて、ご回答ください。)
□あるべきだと思う / □あるべきではないと思う / □その他
質問10
職業や学問によっては、社会・文化的な経験を有することで進路実現に有利なものが存在します。相対的貧困状態にある若者が社会・文化的な経験をするための活動支援等は、必要だと考え ますか。お教えください。 (その理由も添えて、ご回答ください。)
□必要である / □必要ではない
質問11
奨学金は一般的に大学入学後の支援または高校生の学費負担に限られていますが、実質的には 高校段階から、進路実現のための校外活動での準備は必要な場合があります。その段階への支援策を、貴殿及び貴党は検討されていますか。
□検討している (具体的にご回答ください。)
□検討していない (その理由も添えて、ご回答ください。)
□その他 (その理由も添えて、ご回答ください。)
質問12
NHK の貧困とそれに苦しむ高校生の報道について、参議院の片山さつき議員は8 月20 日に Twitter で、インターネットの匿名掲示板をまとめたブログサイト(5)を引用しました。 当該ブログサイトは、当該女子高生についてのプライバシーに関する情報を執拗に探り、個人をターゲットにした誹謗中傷、人格攻撃を含んだものです。公人である国会議員がそのようなブログサイトを引用することは、個人への誹謗中傷を助長する可能性もあると考えられます。公人 のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)利用にあたって、特定個人への誹謗中傷を助 長する可能性を考慮すべきかどうか、お教えください。(その理由も添えて、ご回答ください。)
□考慮すべきだ / □考慮する必要はない / □その他
以下参考文献・ウェブサイト
(1)小林雅之・濱中義隆・劉文君(2013))「大学進学と学費負担構造に関する研究―高校生保護者調査 2012 年から」文部科学省・学生への経済的支援の在り方に関する検討会第3 回 参考資料 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/057/gijiroku/1337608.htm
(2) 平成28 年8 月2 日 閣議決定「未来への投資を実現する経済対策」 第2章 取り組む施策 Ⅰ. 一億総活躍社会の実現の加速 (2)若者への支援拡充、女性活躍の推進 http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/20160802_taisaku.pdf
(3)厚生労働省平成25 年国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 7 貧困率の状況
(4)OECD(経済協力開発機構)では、等価可処分所得が全人口の中央値の半分に満たない世帯員を相対 的貧困にあると定義しています。
(5)痛いニュース http://blog.livedoor.jp/dqnplus/
質問は以上です。 お忙しいところ、最後までお目通しいただき、誠にありがとうございました。
公開質問状について
2016年8月28日、前回紹介した記事で、貧困女子高生報道とその後のバッシングについて初めて詳しく知った。そこで、ネットでの反応や貧困問題に興味を持ったと同時に、何かアクションを起こす必要があるのではないか、という使命感・責任感を強く感じた。自分たちと同じ高校生が貧困と疑われる状況にいて、バッシングを受けている事実に、傍観しているだけではいけないと感じた。
そこで活動の仕方について考えるとき、Twitter等SNSでの議論に参加したのでは、誹謗中傷の発言と大差ないのではと思った。なにか明確な情報を持って議論に参加し、考察を深めたい。また、まだ日本社会において貧困について議論の余地があるという認識を広げたい。そういう思いがあった。
また、当案件についてTwitterで発言した片山さつき参議院議員に、発言の真意を伺いたいとも感じた。
そこでわたしたちは、片山議員を含む参議院議員12名に公開質問状を送り、そこで得られた回答を公開することに決定した。